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書評・その他いろいろ。 日々の疑問やら雑感やらを書いていきます。
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恩田陸大先生の最新作であるチョコレート・コスモス……
いや、これ、ファンの人なら読まなきゃ嘘ですよ!
久々に、時間を忘れて没頭しました。
すばらしいです、本当に!
中身は要するにガラスの仮面なわけですが(私個人としては昴が浮かびましたが)、これがもう、なんと言えばいいのやら、的確な表現が思い浮かばないほど『凄まじい』。
ぐいぐい読者を引っ張りこむ力が半端じゃありませんな、この人。
麦の海に沈む果実でも思ったんことなんですが、読んでいて、手に持った厚さが薄れてゆくのが惜しいんです。
「ああもうすぐ終わってしまう……」という気持ちと「もっと続いて欲しい!」とが葛藤する混乱至福!

……いや、きっと端から見たら、とてもおかしな人間になってるとは思うんですが、とにかく、本作を読まないのは大損です、間違いなく。
終わり方は例によって例のごとく、なんですが、そんなことはファンであれば百も承知でしょうし問題なし!
……あ、一応、補足説明として書いておきますと、恩田先生の本、そのほとんどの作品が「いや、いったいそこからどうなるのさ!」という所で終わるんです。
良く言えば映画の予告的な面白さ。
悪く言えば中途半端。
ただまあ、「そういうものである」とあらかじめ覚悟しておくのであれば、さほど問題は無い、と思わなくも無いような気がしてもいます(でもやっぱり続きが読みたいというのが本音)。

閑話休題。
とにかく読んでいて思ったのが、内容がとても立体的というか重層的なこと。
リアルであるとか薄っぺらではないということではなく(もちろんそれもあるんですが)、ひとつの出来事を、さまざまな方面から見ることでさらに面白くなっているんです。
本文中に、良い役者というのは、役者本人の視点と観客の視点と、そして『上からの俯瞰する視点』を持っている、というのがありましたが、これはそのまま本作にも当てはめることができるのではと思います。

そして、その重層的な視点から導かれるのは、演劇というものの『深さ』。そして『怖さ』。
読んでいてゾクゾクしました。
見ている人の、観客が感じた怖さを追体験できます。

その場で、人の前で演じるという『空気』を、この人以上に書ける人って、いないんじゃないかなあ、とか思ったり。

いや、ホントに良い小説でした。
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